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第14回 日本音楽療法学会関東支部講習会・地方大会 (山梨)

 講習会のご案内 2016年1月30日(土) 13:00〜18:10

今回の講習会は音楽療法の基本となる理論と実践について、より一層考えて学ぶ機会となるようにA・B・C の3コースを柱に企画しました。A コースは対象者理解を深めるために、児童領域から感覚統合、発達障害について、精神科領域から摂食障害についての講義を計画しました。Bコースは、地域に根ざした緩和ケアにおける音楽療法、関連領域との連携を図った音楽療法、臨床家を育て、育てられるためには何が必要かを考えていく音楽療法の講座となっています。Cコースは、身近な廃品が素敵な音楽に変わる演奏会、想像力を掻き立てるマジックと音楽の演奏など、心から音楽を楽しみ、参加いただけるワークショップです。なお、感覚統合の講座では、講義の実技編として、学んで体験する内容となっています。いずれの講座も、「ふれる」「感じる」「学ぶ」素晴らしい時間になることと思います。積極的にご参加ください。

講習会プログラム

受付 1F イベントスペース 12:00〜
クローク 1F 交流ルーム(104) 12:00〜18:30
  Aコース
講義・理論
Bコース
音楽療法
Cコース
ワークショップ
  1F
イベントスペースA
1F
イベントスペースB
2F
多目的ホール
第1講
13:00
|
14:30
1-A
「音楽療法と感覚統合
〜感覚の視点からみた音楽の役割と実践法について〜」

柿崎 次子
(広島都市学園大学)

1-B
「いのちに寄り添って
〜グリーフケアについて考える〜」

小田切 佳仁
(どちペインクリニック
玉穂ふれあい診療所)

1-C
「マジックと音楽と絵本の世界
〜こどもの世界を彩る3つの魔法〜」
※定員100名

講師:大友 剛
(ミュージシャン&マジシャン)
第2講
14:50
|
16:20
2-A
「精神科臨床、特に摂食障害と劣等感
私の音楽体験から」

講師:大河原 昌夫
(精神科医 住吉病院)

2-B
「音楽療法・言語聴覚士・臨床心理士との連携の実際」

講師:宍戸 幽香里
(常葉大学短期大学部)

2-C
「ともとものガラクタ音楽会」
※定員100名

講師:山口 とも
(廃品打楽器奏者)

第3講
16:40
|
18:10
3-A
「発達障害と子ども虐待
〜なぜ、どう、結びつくのか〜」

玉井 邦夫
(大正大学)

3-B
「治療者を育てるために」

講師:松井 紀和
(精神科医 日本臨床心理研究所)

3-C
対象:1-A 受講者のみ
「音楽療法と感覚統合
〜感覚の視点からみた音楽の役割と実践法について〜」

※定員50名

講師:柿崎 次子
(広島都市学園大学)

*やむを得ず時間、内容が変更されることもございますので、ご了承下さい。
*申込み順に受け付けをいたしますので、ご希望の講義やワークショップを受講できない場合があります。
*3-Cの受講は、1-Aを受講した方のみ受講可能です。

 交流会 18:30〜

1月30日(土)の閉会後18:30より、講師の方々も交えた交流会を企画しております。

会場のすぐ横にあるカフェに移動し、立食形式で行います。地元食材を使った美味しい料理や、種類豊富な山梨県産のワイン飲み放題をお楽しみ頂けます。講師の方々や学会員同士が交流できる貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。

講習会プログラムの詳細

1-A
「音楽療法と感覚統合 
〜感覚の視点からみた音楽の役割と実践法について〜」

講師:柿崎 次子(広島都市学園大学)

「感覚は脳の栄養」と言われるように、感覚は子どもの成長を基礎から支える機能である。その点、楽器を弾くことで生まれる感覚刺激は、提供の仕方が子どもにとって適切であれば、その子の成長の大きな支えとなる。この点、発達に問題を抱える子どもへの音楽療法の役割は重大である。
講習会では、このような感覚統合の考え方にもとづき、音楽療法士として最低限知っておくべき感覚統合の基礎知識を紹介した後、非定形発達児の行動と感覚統合の考えられる関連性、楽器を使った感覚統合アセスメント、音楽療法士の心得などについて、セッションビデオも含めて具体的に紹介していく。

<プロフィール>
アメリカ、シャナンドア大学にて音楽療法を学び、同大学院にて2003年音楽療法修士号取得。2005年から7年間くらしき作陽大学および作陽音楽短期大学にて教育と研究に従事し、現在は広島都市学園大学非常勤講師のほか、西日本を中心に一般社会への音楽療法普及活動および非定形発達児への臨床に力を入れている。

2-A
「精神科臨床、特に摂食障害と劣等感 私の音楽体験から」

講師:大河原 昌夫(精神科医 住吉病院)

いつの頃からか、精神科の臨床において、自己肯定感、自己評価などの表現が頻回に飛び交うようになった。不登校(これ自体は全く病気ではないが)、自傷行為、摂食障害、彼女・彼たちは「自己尊重感が低い、それが病気という形を取って現れる。だから、自己評価を回復する必要がある」と。それは病気、あるいは社会的不適応の一面を当てているだろうが、自己評価の低さは、マイナスとは限らない。自己評価の高すぎる人は、往々にして他者を傷つけ、自己の地位と名誉に執着する。
私にはモーツァルトとシューマンを聴く時間が生きている喜びを最も与えてくれる。だが、私には楽理も旋法も分からない。最も愛する領域において、才能の欠如を実感し、大学オーケストラで私は嫌と言うほど劣等感を味わい、絶望もした。それでも音楽への愛は消えなかった。その体験から精神科の臨床を眺め直すと、何が見えてくるか。

<プロフィール>
精神科医。通信社記者を経て、医師になった。アルコール依存症、摂食障害の治療と家族会運営に力を注いできた。精神疾患と家族の問題が頭を離れない。著書に『家族への希望と哀しみ 摂食障害とアルコール依存症の経験』、『鶴見俊輔に学んだ精神医療』など。
<関連サイト>
◎ 私たちの取り組み 甲府市 精神科【住吉病院】山梨県
◎ 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!

3-A
「発達障害と子ども虐待 〜なぜ、どう、結びつくのか〜」 

講師:玉井 邦夫(大正大学)

子ども虐待は今ではどのような臨床の場でも遭遇する現象になりました。一方、発達障害はあらゆる子どもと家族の問題に関連すると考えられ始めています。この講義では、発達障害と子ども虐待という親子関係がどのように、そして、なぜ結びつきやすいのかについて概説します。その関係を理解した上で、実際に関わりを創り出していくために、どのような視点が必要なのかという点についても検討していく予定です。

<プロフィール>
1959年千葉県生まれ。東北大学大学院心身障害学専攻修士課程修了後、情緒障害児短期治療施設にセラピストとして勤務。その後山梨大学教育人間科学部専任講師を経て、現在は大正大学人間学部臨床心理学科教授。公益財団法人日本ダウン症協会代表理事。
<関連サイト>
◎ 「人の気持ちを知ってみよう!」大正大学
◎ WEBマガジン[KAZE]風

1-B
「いのちに寄り添って 〜グリーフケアについて考える〜」

講師:小田切 佳仁
(どちペインクリニック玉穂ふれあい診療所)

グリーフケアは、緩和ケアにおいてとても重要です。私が働いている玉穂ふれあい診療所では、グリーフケアの一環として、死別前から家族への関わりを大切にしています。また、死別後には遺族の訪問やグリーフ集会『忘れな草の会』を開くなど、グリーフケアに力を入れています。今回の講習では、実際に現場で行われていることをもとに、悲嘆のプロセスを学び、グリーフケアへの理解をさらに深められる機会にできればと思っています。また、患者さんの死に対する恐怖や、生きている意味への問いかけは、薬剤ではぬぐいさることのできないものです。しかし、音楽がその人の思いに寄り添う瞬間を垣間見る事があります。生活の中で聴こえる鳥の声、ふっと流れるラジオの音、家族の笑い声に癒されたり、涙したり・・・それはなぜでしょうか。酒を交わし、演歌を口ずさみ、思い出を語る夫婦の風景。家族が歌いかけながら最期を迎えるその時・・・。現場で私が思う音楽の存在について、ありのままの出来事をありのまま届けたいと思います。

<プロフィール>
甲府市生まれ、平成9年共立高等看護学院を卒業後、看護師として甲府共立病院に入職。その後日本臨床心理研究所で松井紀和氏のもと音楽療法について学び、平成15年日本音楽療法学会認定音楽療法士の免許を取得する。子どもから高齢者・緩和ケアにて幅広く音楽療法を展開。現在は医療法人どちペインクリニック玉穂ふれあい診療所(緩和ケア機能を有する有床診療所)の病棟スタッフとして勤務。当院内のグリーフケア委員会「忘れな草の会」の委員長を務めている。
<関連サイト>
◎ どちペインクリニック玉穂ふれあい診療所

2-B
「音楽療法・言語聴覚士・臨床心理士との連携の実際」

講師:宍戸 幽香里(常葉大学短期大学部)

「他(多)職種との連携」は、今や医療部門では他(多)職種との連携講習会などが盛んに開催され、また教育部門でも他(多)職種との連携の必要性が取り上げられている昨今です。特に音楽療法士は他(多)職種との連携の必要性を痛感します。その理由は、音楽療法は音楽を媒体にすることで、音楽の刺激に対する反応や行動をセッションの中で読み取り、その意味を解釈する事が要求されます。これらの「読み取り」と「解釈」を音楽療法士自身が一人で行うことで的確さを欠くことになれば、セッションの方向性を失うことになり、何よりも対象者に損害を与えることになります。今回は通園施設で実際に行っている、MT(音楽療法士)・ST(言語聴覚士)・PSY(臨床心理士)との連携の実際から、各専門職の役割を明確にし、音楽療法の特色を再考していただける機会にしていただきたく思います。

<プロフィール>
常葉大学短期大学客員教授。三鷹市教育委員会の音楽療法講師。(特別支援学級の固定級、通級学級、不登校相談学級)、都内や神奈川県の通園施設の音楽療法講師、横須賀市委託事業等で実践。知的障害乳幼児から成人期までの知的・発達障害児等の実践を行っている。

3-B
「治療者を育てるために」

講師:松井 紀和(精神科医 日本臨床心理研究所)

音楽療法士を養成する学校が増え、多数の卒業生が音楽療法士になって活躍しているが、治療の実際は卒業してからの体験が中心で、学校の実習では、その入り口を体験するだけといえよう。実際に臨床現場で実践するようになってから、様々なことを体験し、学び、考える機会が増え、本当の臨床家に育っていくわけである。本講座では、指導する立場になって臨床家を育てるにあたって、どんなことが必要か、どんな問題があるか、その解決はどうすればよいのか等々のことを考えるために素材を提供してみたい。指導する立場の人にとっても、受ける立場の人にとっても、ともに考える機会になればと期待している。

<プロフィール>
北海道大学医学部卒業。音楽療法の先駆者として、精神科医として60年以上にわたる臨床活動を継続している。日本音楽療法学会前副理事長、現在顧問。日本芸術療法学会学会賞受賞。甲府市在住。日本臨床心理研究所所長。

1-C
「マジックと音楽と絵本の世界 〜こどもの世界を彩る3つの魔法〜」

講師:大友 剛(ミュージシャン&マジシャン)

非言語コミュニケーション道具としてのマジック、音遊びを五感で楽しんでいただきます。純粋に音楽やマジックなど通し、"楽しい"、"不思議"、"共感" を体験し、それを子どもの視点から考えなおします。更に絵本の世界で、子供の想像力と創造性について考えます。【第一部】マジック:子どもの創造力を掻き立てるマジックのネタを紹介。その場でマスターしたマジックは、それぞれのコミュニケーション道具として活用出来ます。【第二部】音楽:「鍵盤ハーモニカ」の魅力に迫ります。" 正しい音楽" から" 楽しい音楽" になるような、ヒントを紹介。またピアノ伴奏は、沢山の音ではなく、3〜4本の指だけでこどもの歌の伴奏を簡単に、且つ、オシャレに出来る技を紹介。【第三部】絵本"参加型絵本" の世界を紹介。こどもたちが主人公となってアクションや歌を加えた、新感覚の絵本の世界を体験して頂きます。"参加型" によって、こどもたちが主体となり、絵本から飛び出しファンタジーの世界へと誘います。

<プロフィール>
ミュージシャン&マジシャン 自由の森学園卒業後、アメリカ・ネバダ州立大学で音楽と教育を学ぶ。帰国後「音楽とマジックと絵本」という異色の組み合わせで活動。NHK Eテレ「すくすく子育て」「みんなのうた」に出演。東日本大震災後、被災地の子どもたち、保育者に音楽とマジックを届けるプロジェクトを展開中。
<関連サイト>
◎ 大友剛 Otomo Takeshi Official website
◎ 大友剛 - Hoick 保育士・幼稚園教諭のためのWebサイト
◎ ピアニカ王子 大友剛さん 被災地ボランティアコンサート活動 その2
◎ 『ねこのピート』オフィシャルサイト

2-C
「ともとものガラクタ音楽会」

講師:山口 とも(廃品打楽器奏者)

2000年以降、全国各地で『ガラクタ音楽会』を行っている。 身近にある不要品を利用し、それらの音を引き出すことをコンセプトとした音楽会。 普段、楽器としては使われていない物の音は雑音にしか捉えられていないが、本音楽会では、それらを楽器に変身させ、新たな音の誕生を観客と発見し、人間の音に対する意識を高めていくことを目的としている。 また、音楽は勉強して譜面が読めないとしてはいけないと思われがちだが、この演奏会ではもっと音楽を「身近」に感じてもらい、『自由な発想で音を楽しむこと』を目的としている。調律などはせず、そのまま叩けば音楽になる楽器作りを目指している。 こうして生まれた楽器たちの音は聞く人の想像力を養う手助けにもなっていることと信じる。心に余裕を持ち、心地よい音を聞き分ける耳を持ってほしいと願いつつ。 音を楽しむのが音楽、器の音を楽しむのが楽器、それを楽しむのが人間、いい響きが出来る器にならなくては。僕はそう思いながらガラクタ音楽会を開催している。

<プロフィール>
祖父は童謡作曲家、山口保治。ティンパニー奏者の父、山口浩一の長男として東京に生まれる。 「つのだ☆ひろとJAP,S GAP,S」でデビュー後、石川さゆり・中山美穂・今井美樹・平井堅などのツアー、レコーディングに参加。1995年、オリジナル『廃品打楽器』の作製を始める。「ドレミのテレビ」(NHK教育,2003-2006放送)に"ともとも"の愛称でレギュラー出演。 2000年以降、全国各地で『ガラクタ音楽会』を行っている。
<関連サイト>
◎ 神戸学校
◎ TOMO YAMAGUCHI's performance01 (ウォークマンCM)

3-C ※1-A受講者のみが3-Cを受講することができます。
「音楽療法と感覚統合 
〜感覚の視点からみた音楽の役割と実践法について〜」

講師:柿崎 次子 (広島都市学園大学)

1-Aの講習会で紹介した感覚統合の理論にもとづき、ワークショップでは、音楽療法だからこそのユニークな特徴を活かし、(1)感覚統合の考え方にもとづく楽器使用法、(2)楽器を使った感覚統合アセスメント法、(3)音楽療法でも使える感覚統合療法の道具使用法、(4)覚醒レベルに応じたセッション手順、(5)楽器使用時の注意点などについて、模擬セッションを通してわかりやすく紹介する。

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