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第9回日本音楽療法学会
関東支部講習会・地方大会(群馬)をふりかえって

実行委員長 猪之良高明
第9回日本音楽療法学会関東支部講習会・地方大会(群馬)は、2011年2月19日、20日の2日間にわたり、群馬県前橋市の群馬県社会福祉総合センターで開催されました。講習会参加者281名、地方大会参加者265名、講習会・地方大会の述べ参加者は546名となりました。第1回の地方大会は群馬からはじまり各都県を一巡し、2巡目の群馬大会となりました。地方大会に求められるものも時代とともに変化し、今回は新たに音楽療法を学ぶということは何かということを考え、講習会、シンポジウム、研究発表のみのシンプルな大会とさせていただきました。

2月19日の講習会は、6コマの講習をAコース、Bコースに分けて企画されました。Aコースは大ホールでの講演を3コマ、Bコースは研修室での事例・ワークショップを3コマ企画しました。事例・ワークショップは1コマ80名定員としたため受付開始後、早い段階で定員に達しました。今回は地域性を前面に出し、群馬県出身の講師を3名お願いしました。児童分野、高齢者分野、声のワークショップでしたが、どれも具体的な内容で分かりやすかったとの感想をいただきました。

2月20日の地方大会では、「地域における音楽療法の現状と課題」として、シンポジウムを企画いたしました。ねらいとして学会の認定療法士が1,871人に達し、新認定制度も開始、多くの会員が新認定での資格取得を希望していること、一方で認定受験資格認定校が27校に達したことなど、音楽療法教育のインフラはかなり整備されつつある一方で、卒後、実践現場の確保には多くの新卒者、若手が苦労していることが実態として挙げられました。こうした現状を踏まえ、学校教育の場から山本久美子氏、卒後教育の場から宍戸幽香里氏、実践現場から磯田公子氏、3名をシンポジストして迎え、各地域での音楽療法の現状と課題、音楽療法士を職業にするにあたって必要なこと、プロとしての音楽療法士の展望などについて語っていただきました。山本氏は「地方においては音楽療法が市民権を得ているとは言い難いものの、地元のセラピストと卒業生を交えた症例検討会などでつながりを持ち、セッションの場を確保するきっかけになった。地元で活躍している音楽療法士とコンタクトを取ることが必要である。」と伝えました。宍戸氏は「音楽療法士として活躍するには何を身につけていくべきかを常に考えてきた。(1)実践力(2)社会人としてのマナー(3)常識(4)健康と言ったことが大切である。また音楽療法の質の確保のためにはスーパーバイズの問題は急務であり、音楽療法士以外の様々な分野の専門職から学ぶことも大切である。」と訴えました。磯田氏は「毎日現場を走り回っている中で、自治体における予算削減問題がありながらも、音楽療法事業は依頼が増えつつある。一方で依頼者側の音楽療法士を見る目は厳しいものがあり、職業としての責任や役割を認識する必要がある。思い込みや独りよがりの実践ではなく、仲間同士でのスキルアップなどを心がけ実践力を身につけてほしい。」と参加者に呼びかけました。

研究発表は、一般申請暫定期間が終了したことではたして応募があるかどうか心配されましたが、多くの方から応募があり、27題を発表していただくことになりました。会場では活発な議論がなされました。

今大会を無事に開催できましたことは会員の皆様の多大なるご協力とご支援によるものと心から感謝いたします。

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