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第6回日本音楽療法学会関東支部大会をふりかえって

大会長  山本久美子(宇都宮短期大学)
第6回日本音楽療法学会関東支部地方大会・講習会は、平成19年11月24日(土)、25日(日)の2日間、「地域と共にはぐくむ音楽療法」のテ−マとして、山梨学院大学内で開催され、無事終了することができました。幸い天候に恵まれ、大勢の皆様(延べ502名)に参加していただき、心からお礼申し上げます。

本大会では、音楽療法士の育成と研修、音楽療法の地域への普及、会員相互の交流を念頭に、支部大会らしい講習会や地方大会の内容を28名の実行委員で検討しました。

講習会では受講する対象者(391名受講)の経験を考慮し、基礎講座と専門講座に分け、基礎講座では、児童、精神科、高齢者領域の基礎編を一般公開しました。また、専門講座では、心理・発達臨床、精神科医療、作業療法の3コースを設け、関連領域から音楽療法を学びました。5時間にわたる長帳場でしたが、卓越した講師陣やベテランの事例提供者により、各会場とも、時が過ぎるのも忘れるほどの熱気で大好評でした。わかりやすく、内容の充実した講習を準備いただいた講師の皆様に心より感謝申し上げます。

懇親会では、こじんまりした会場に人があふれ、当地自慢のワインのせいでしょうか、皆さんリラックスして、料理長が腕をふるったほうとうを食べながら、あちこちで話の華が咲いていました。途中、釜山の参加者が加わり、小さなアジアの交流の場となりました。

地方大会では口演発表22題、ポスター発表7題が発表されました。会場では、発表する・聞く人双方とも熱心に質疑応答が繰り返され、音楽療法士を目指す会員及び音楽療法士として活躍されている会員の真摯に研鑽する意欲にあふれていました。

同時進行でテーマに即した座談会や講演、演奏が一般公開で行われました。座談会では、松井紀和氏を座長として、山梨の医療、教育、福祉の現場でご活躍の講師の皆様から、地域という視点での音楽療法の役割や音楽療法士の資質についてお話しいただき、音楽療法の原点を再確認いたしました。韓国釜山の音楽治療士、金敬恵氏の講演では、釜山での音楽療法の実践と現状を知ることができました。音楽療法士として、行政への働きかけもさることながら、治療を行っている高校生を伴い、定期的に町に繰り出し、民族楽器の太鼓を通して、一般市民の理解を図っているパワフルな姿がとても印象的でした。日本の中でも地域の独自性があり、同じ肌の色、隣国であっても、文化や生活の違いにより、表現方法に特色があることを改めて実感しました。

午後からは山梨県民も多く参加し、「はっぱのフレディ」の翻訳者みらいなな氏(山梨在住)は講演の中で、人生そのものが音の外には出ないという話やご自身が無言症であった体験を切々と語られ、感動を誘いました。ジャズピアニストの佐藤允彦氏は聴衆、スタッフを巻き込んだ即興演奏で、音楽ならではの共有体験の場を作りました。大会最後は佐藤氏の伴奏で、釜山の仲間も加わり、「アリラン」の歌と太鼓と踊りで会場が一体となり、2日間の日程を無事、盛会のうちに終了いたしました。大会テ−マである「地域と共にはぐくむ音楽療法」を考える上で、多くの刺激と示唆をいただきました。今後は更にそれぞれの地域での活動に生かしてしていただけることと思います。講師の皆々様に熱くお礼申し上げます。

抄録発送の遅れや会場の案内、昼食等、その他行き届かない点が多々ありましたが、関東支部事務局の皆様、ボランティアの皆様、大会会場を提供して下さった山梨学院大学、事務局を置かせていただいた日本臨床心理研究所、広告掲載を快諾して下さった皆様等、準備や当日の運営にご協力いただいたすべての皆様のおかげで、成功裡に終えることができました。実行委員一同、心から感謝申し上げます。

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