関東支部支部長 小柳玲子
第23回関東支部地方大会(茨城)開催にむけて
第23回関東支部地方大会は、茨城県つくば国際会議場で行われます。この会場では、2025年9月に日本音楽療法学会の学術大会が行われ、遡れば2017年7月に世界音楽療法大会が開催されました。会場のいたる所に、これまでの音楽療法士が集った残像が見えるような気がします。そのような「過去」を持つ地で、「未来」をテーマに新しいディスカッションが生まれることを、大変興味深く感じています。
「音楽療法の未来」について、戦々恐々と見守っている、または流されていくのではなく、本大会では対話を通して向き合う取り組みをしています。カナダの精神科医エリック・バーンは、「You cannot change others or the past. You can change yourself and the future. (過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分自身だけ)」という名言を残していますが、未来が変えられるものであれば、私たち音楽療法士自身が変わっていく可能性についても考える必要があるかも知れません。
例えば、AIと音楽療法士がお互いの得意分野を持ち寄って共存するのもひとつ、遠隔音楽療法などITを生かすのもひとつ。また、専門性を特化させていく方向性もあれば、コンサルタント的な立場に立って音楽療法を多くの人が実践できるよう支える(音楽療法を開いていく)方向性もあるでしょう。いずれにしても、社会全体の動きと乖離しないように留意しながらも、私たち自身が大切に思う音楽療法の価値をどのような形で持ち続けたらいいのかを、時代の変化が急速化している今こそ考える時ではないかと思います。本大会がその端緒を開くことになれば、と期待します。実行委員をはじめ、多くの会員の声が響く大会となりますよう願っています。
茨城大会会長 高橋 多喜子
第23回日本音楽療法学会関東支部地方大会(茨城)が、2026年3月15日に、つくば国際会議場で開催されます。大会テーマは「音楽療法の未来」です。
日本音楽療法学会は、1997年3月から年に1度の音楽療法士の認定を行い、2025年3月には131名が合格しました。そして認定音楽療法士の数は3890名になりました。この人数は5年に一度の更新を行っている人も加えての数です。
茨城大会では、AIで多くのことができる時代になってゆく中で「音楽療法の未来」について考えていきます。AIとともに私たちはどのように音楽を使っていくのか、感情の機微は考慮されるのか、科学的検証が十分になされるのか、倫理的問題はどうなるのかなどの問題に向き合っていきたいと思います。現在、関東支部との連携のもと、大会に向けて実行委員長を中心に準備が精力的になされています。
基調講演は筑波大学人間系(障害科学域)准教授の山中克夫先生から「認知症の人のリハビリテーションに対する心理職の実践と研究:「音楽療法の未来」につながることを願って」という題目でご講演をいただきます。2025年には、日本における65歳以上の認知症患者数は約700万人と推計されています。心理職と連携して音楽療法は認知症患者様に何ができるのか考えていきたいと思います。
午後のメインはシンポジウムです。110分の時間をかけ、3人のシンポジストからお話をいただきます。AIが音楽療法に導入された場合の問題点についてお話をいただき、音楽療法指導者がAIと共存し、その可能性を最大限活かすための方法を考えていきます。フロアーからの活発なご意見をお待ち申し上げます。
研究発表は口演発表、ポスター発表、ひよこフォーラムを行います。奮ってご応募くださいますようお願い申し上げます。
実行委員長 宇津野 裕子
地方大会(茨城)は、全国大会と同じく、つくば国際会議場エポカルにて開催いたします。前大会(茨城)から8年、全ての面でIT 化が進みました。山梨の先生方、事務局長、事務局のサポートのもと、充実した大会にすべく実行委員一同一丸となって準備をしております。開催方法は、対面とオンデマンドの併用です。対面参加は、人とのぬくもりに出会えます。オンライン参加は忙しい中でも参加できる大きな利点がありますが、研究発表はご覧になれません。参加申し込み方法は、Peatixからの申し込みと支払いに変わります。今大会のシンポジウムでは、音楽療法でさらに進むIT化やAIをどのように活用し使いこなすのか、他領域の話も交えつつ、参加者全員が一同に会してメインホールに集い講師を囲んで一緒に考えます。音楽療法の未来への扉を開けませんか。
たくさんの演題のお申し込みと、多くの皆様の地方大会(茨城)へのご参加を、心より お待ち申し上げます。